2005.12.6/「まるで罪人の懺悔だ」
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ごめんなさい。
「………ごめんなさい」
口に出して、もう一度、言う。
一度目は心のなかだったから、そんなもん、関係ねぇだろうけど。
おれはゆっくりと、目を開けた。いつもの場所にいる。それに思わずため息が吐いた事に、また心のなかで謝罪した。ごめんなさい。ごめんなさい、博士。
おれがいつもの寝ている部屋だ。つまり寝室だ。おれは謝罪して、もうこんな事はないようにと戒めた。これも何度目になるかわからない事だった。おれは駄目だ。失敗作だ、ほんと。
からだを起こして、時計を見る。まだ夜だという事に気がついた。夜中の三時。
寝なきゃなぁ、と思ったが、やる気が起きなくてそのまま目を開けている事にした。ベッドのうえでぼんやりとする。この時間はけっこう好きだった。すこし寒かったけれど。
また夢を見てしまった。
おれは博士にいくら謝ってもきりがない。いくら感謝しても足りないのとおなじように。
この時間、つまりこの夢を見て起きた後にいつもやる行為を、おれは繰り返す。
もう何度も見た夢は、───おれがここから出る夢だった。
しかも、……しかも兎木吊垓輔と!
ふざけんじゃねぇと夢に怒鳴りつけてやりたいが、夢は自分の願望というものが混ざっているという話をちらりと聞いた事がある。専門じゃないから知らないけど。でも、こう何度も夢に見るって事は、あながち間違いではないのかもしれない。おれは。おれは駄目だ。うなだれる。目を伏せる。ごめんなさい博士。
思考を閉ざす事はできなかった。考えてしまう。おれは我慢できずに両手で顔を覆った。ああくそ、最低だ。最悪だ。極悪だ。たすけてください。やめてください。おれを、おれは、ごめんなさい。
おれはここからあのひとと出たいとときどき思ってしまいます。
ごめんなさい博士。ごめんなさい。ゆるしてください。おれをゆるしてください。
おれはあいつが大嫌いでほんとうに大嫌いで憎んでいると言っても過言ではないほど恐れているし拒絶している。それでもあいつがほしいと思う事がある。何なんだおれは。何なんだこの矛盾は。おれはこんなの知らねぇ。知りたくねぇ。
でも事実だ。おれはあいつに愛憎を抱いている。これだけはたしかだ。
何て事だろう。
いっそあいつに関しての記憶を喪失してしまいたい。くそ。くそ。くそ!
何であいつなんだ。何であいつなんだ。何であいつなんだ!
やめてくれ。間違いだと誰か罵ってくれ。誰かおれのこの感情を拭い去ってくれ。ゆるしてください。ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい!
「………ごめん、なさい、」
声がかすれてふるえた。
「うつりぎさん」
バカだおれは、もう嫌だ、もう嫌だ!
「あなたを」
おれは、
告白的狂気
この言葉をころしてください。
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