嘘吐き。
「お前を愛している」








 嘘じゃない、とお前は私に嘘を吐く。私はそれに甘く微笑んでみせる。
「嘘吐き」
「嘘じゃない、竜崎。お前が好きだ。お前だけを見ていたのに、お前はまったく気づかない。気づいても何もしない。答えるぐらい、してくれてもいいだろう」
「嘘に答を返す必要はありませんよ、夜神くん」
「どうして嘘だと思う?」
「知らないのですか。あなたは私から目をそらしたときに真実を口にするんです。不思議な人ですね。普通、人間は嘘をつくときに目をそらすのに」
「……はは、そうなんだ」
「ええ」
「竜崎」
 お前の指先が私に触れる。
 私の白い肌を伝うその指は冷たく、私は改めて、彼がキラだと思った。
 この指が、ひとを殺すのだ。
 あっけなく、簡単に、命を奪う。
「……竜崎」
「そんな嘘をついてどうするのです?」
 私の目を見る彼へ、私は問う。
















「もう私はあなたから逃れられないというのに」
 そしてそれに欲情しているのだと、私はとうに、わかっている。






                       2005.1.15執筆/2005.8.6再掲載
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